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水流と砂金

著者:

宮木あや子

ナレーター:

釘宮理恵,

再生時間:

00:48:42

チャプター数:

2

図表の数:

0

出版社:

新潮社

作品紹介

「実」(みのる) 私は名前を呼び、鍵盤の上に所在無く置かれた実の手に自分の手を重ねた。    微かに痙攣する滑らかな手の甲を、指に力を入れて圧する。不協和音が響板を滑り、全ての音が絨毯敷きの床に転がり落ちたあと、私はたまらなくなりもう片方の手で実の頬を耳ごと掴んだ。「さく......」 ら、という音は私の唇の端で、水の音になって溶けた。 拒まれるわけがない。拒むわけがない。だって実はそういう人だから。生まれて初めてのくちづけは、思っていたよりもあっけないものだった。 新学期、突如学園に現れた天使のように美しい外部生、矢咲実(やざきみのる)。黒川さくらは一目で実に心を奪われる。彼女ならきっと、私をとりまく運命から、私を引きはがしてくれるはず―--。 愛する人とどこかへ逃げていきたい。少女たちが抱く、甘美なまでの絶望と夢の物語。

文芸あねもねR制作委員会

カテゴリ

現代文学

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