★新書大賞2018、大賞を受賞!★
バッタ被害を食い止めるため、バッタ博士は単身、モーリタニアへと旅立った。 それが、修羅への道とも知らずに……。
『孤独なバッタが群れるとき』の著者が贈る、科学冒険就職ノンフィクション。 9万部を突破した大注目の一冊をオーディオブックでお楽しみください。
バッタの群れは海岸沿いを飛翔し続けていた。 夕方、日の光に赤みが増した頃、風向きが変わり、大群が進路を変え、 低空飛行で真正面から我々に向かって飛んできた。 大群の渦の中に車もろとも巻き込まれる。 翅音は悲鳴のように重苦しく大気を振るわせ、耳元を不気味な轟音がかすめていく。 このときを待っていた。 群れの暴走を食い止めるため、今こそ秘密兵器を繰り出すときだ。 さっそうと作業着を脱ぎ捨て、緑色の全身タイツに着替え、大群の前に躍り出る 。
「さぁ、むさぼり喰うがよい」