自ら常用者だった著者が書き下ろす、「ドラッグの世界」渾身のリポート!!
常に「特殊」なものとして語られ、現実感に欠けていた「ドラッグの世界」。「他人のトリップなど聞きたくない。面白いのは、ドラッグの周辺にいる人たちだ」と豪語する著者がリポートする、愉快で、どこか物悲しいドラッグの世界。
眠れないシャブ、運び屋の努力と苦悩、ジャンキーの素顔、実録覚醒剤裁判、熱狂レイブ、ドラッグセックス、アムステルダム帰りのジャンキー、裏山マリファナ栽培記、イラン人と売人の関係、ケタミンで臨死体験、インド人化する日本人売人、笑えない禁断症状、各国マリファナ事情、……
もはやドラッグの珍しい時代ではない。ハッパを吸ってるやつなんてそこら中にいるし、渋谷に行けば覚醒剤だって手に入る。ネットでは、オランダの良質のマリファナの種が売 られているし、それを買って部屋の中で栽培するやつもいる。やり方によってはネットで合法ドラッグを買うこともできるし、大きな街には必ず合法ドラッグ店があり、店は若者でにぎわっている。仕事のことだけをいえば、ドラッグがストレス解消の働きをし効率がよくなったといえるかもしれない。もっとも、覚醒剤でキリキリ働いて効率アップというわけではないから、そこは誤解しないでもらいたい。俺がドラッグとうまく付き合い、止めるときもそれほど苦労しなかったのは、俺の興味がドラッグそのものではなく、ドラッグの世界にいる住人たちに向けられていたからだろう。
俺は様々なドラッグ本を読んできたが、その中でトリップ体験を面白いと思ったことはない。他人のトリップの話を聞くのは、他人の夢の話を聞くようなもので、聞いている方は感情移入することができず退屈なものだ。俺が興味あるのは、ドラッグの周辺にいる人たちだ。だから俺は自らドラッグをやりながらも、その効果におぼれるのではなく、さめた目でドラッグの周辺にいる人たちを眺めてきた。その中にはドラッグを知らない人たちとは比べものにならないほど、「人間らしい」感情が渦巻いている。恐怖あり、恍惚あり、歓喜あり、絶望あり、そして行方不明や逮捕などといったドラマティックな展開まで待ち受けている。この本はドラッグを肯定するためのものではない。そして否定するためのものでもない。俺がドラッグと密接に付き合っていた五年間で、見たり体験したり、知り合いから聞いたことをまとめたリポートである。 (本書まえがきより)
目次 ドラッグは呆気なく手に入る 運び屋の努力と苦悩(マリファナ持ち込み編) 偽シャプで死の淵をさまよう 手作り偽マリファナ ドラッグはカッコいい? イラン人売人と国際結婚 ドラッグ製造所 裏山マリファナ栽培記 キノコか嫁か? ケミカル『教授』の熱意 ドラッグとホモの関係 ムショじゃあシャブは止められない 眠れない 新宿歌舞伎町 地下パーティー 付き合いにくいヤツら ドラッグセックスは本当にイイのか? ヤバすぎる―記憶喪失・殺し合い・ケタミンで臨死― キッつ~いジョイント ドラッグ隠語集 笑えない後遺症 笑えない禁断症状 ダチュラとの死闘 いつから違法だ ジャンキーのやることは分からない 間違いだらけの隠し場所 海外トリップ バンクーバーで謎の「紙」 インド人化する日本人売人 アムステルダム ジャンキーの身だしなみ 太るドラッグ、痩せるドラッグ アワヤスカを初心者に 覚醒剤裁判ってどんな感じ? ドラッグ・アート 青玉 キミはポンプ派? 炙り派 人は麻の実でトペるのか シンナー先輩 栃木で行われた熱狂レイブ