『強制?矯正?共生?』
口やかましい妻を男性がやりこめ、従順な奥さんに仕立て上げるこの物語は、中世の男権社会において、女性のアイデンティティの確立は結婚にありという常識を前提として、非常な人気を博した作品である。 しかし、本作は喜劇という形を取りながら、キリスト教的な考え方から男性の所有物として認識されていた当時の女性の立場の中、男性が勝ち気な女を貞淑な妻に改心させました、めでたしめでたし、という一方的に夫が妻をしつけるという短絡的なお話ではなく、お互いの出方を見ながら徐々にうまい関係性を築き、最終的には共犯者的な関係に落ち着くような夫婦の形を暗にほのめかしている。
じゃじゃ馬を馴らすのは、本当は誰なのか。
草食男子はびこ る現代にも十二分に通じる、男女が共生していく駆け引きのひとつの形を、皮肉たっぷりの普遍の笑いでお楽しみいただきたい。
編集者からひと言 本シリーズは、ラム姉弟『シェイクスピア物語』をもとに、シェイクスピアの原典にある詩を加え、再編集。必要な箇所を抑えた編集で、シェイクスピアの世界を楽しみながら手軽に知ることができます。