CONTENTS タイトル 一二七(黒の女) 一二八(楽器と指と唇) 一二九(淫らな欲と賢き者) 一三〇(喩えようのないほど) 一三一(その振る舞いは) 一三二(あわれみを乞う) 一三三(友もわれも囚われて) 一三四(友をかたに) 一三五(ウィル、名前と思いの掛け言葉) 一三六(数多くの愛人を) 一三七(肥えた目でも誤る) 一三八(嘘と知りつつ) 一三九(君のために申し開きを) 一四〇(心に愛がなくても) 一四一(目でなく心で) 一四二(受け入れよ) 一四三(たとえ話) 一四四(天使と悪魔) 一四五(嫌い、ではない) 一四六(体衰えても魂は豊か) 一四七(地獄のように黒い) 一四八(何が正しい) 一四九(尽くしてもなお) 一五〇(愛の葛藤) 一五一(勝ち得た猥褻) 一五二(自らも同罪)
解説 シェイクスピアはソネットの名手であり、数多くのソネットを劇中でも活用していた。また後世のロマン派の詩人たち(キーツやワーズワス)にも大きな影響を与えたという。 ソネットとは、愛の対象に語りかける14行の抒情詩のことで、連作が多く、そのひとつひとつの詩のあいだで、ゆるやかな物語が作られている。 その愛の対象は実在のこともあれば、架空の人物のこともあるが、この詩に登場する黒の女(ダーク・レディ)は、実在なのかそうでないのかは判然としていない。 今回は、黒の女の部分だけ26篇を抜粋したが、ソネット全体で、前半に詠われた友人との三角関係が暗示されていると言われている。 シェイクスピアのソネット集は、蜜と塩、すなわち抒情詩の甘みとエピグラムの辛みを併せ持った詩集とされ、ルネサンスの伝統のひとつの到達点として、高く評価されている。 従来は、白く美しい冷たい貴婦人を理想として讃えていたが、シェイクスピアは、妖艶な黒の女をあるがままに愛して、深い内省を秘めた人間らしい詩に仕上げている。 編集者からひと言 本シリーズは、シェイクスピアの世界を判りやすいダイジェスト版として、楽しみながら手軽に知ることができます。