第十七帖 絵合 えあわせ 光源氏 三一歳 主な登場人物 梅壺女御(秋好中宮)
会ひがたきいつもの姫(みこ)とおもひてき さらにはるかになりゆくものを
光源氏の後見のもと、六条御息所の娘斎宮は梅壺女御(うめつぼのにょご)として冷泉帝に入内した。すでに寵愛を受けている弘徽殿女御(こきでんのにょご)が後宮に侍していたが、冷泉帝は絵画が得意な梅壺女御に興味をもち、寵愛は二分するようになっていった。弘徽殿女御の父権中納言(のちの内大臣)は 優れた絵画を収集し始め、帝の気をひこうと躍起になる。 宮中では絵画の批評が流行し、帝の前で「絵合」が開催される。弘徽殿女御と梅壺女御が左右に分かれ、それぞれ持ち寄った絵画を競うがなかなか勝負はつかない。最後に一枚の絵が人々の心を深く打ち、左の梅壺方の勝利となった。その絵は、源氏が須磨に滞在していたころ、清澄な心境に達して描かれたも ので、他の追随を許さないすばらしい出来栄えだったのである。