平家みなほろびはてて、西国もしづまりぬ。国は国司にしたがひ、庄は領家のままなり。上下安堵しておぼえし程に、同七月九日の午刻ばかりに、大地おびたたしくうごいてやや久し。(巻第十二・大地震) 巻第十二 収録内容 巻第十二は壇の浦で平家が敗れた後の元暦二年(1185年)七月からを描く。平家の残党狩りが行われ、文覚の力を借りて助命されていた平家直系の六代御前もついには斬られ、平家の子孫は絶え果てた。 壇の浦合戦で勝利をおさめた源義経は兄・頼朝と不和になり、都落ちをする。頼朝は全国を統治し、平家の残党狩りを行う。直系である平維盛の嫡子・六代も捕らわれるが、文覚に救われ、のちに出家する。後白河法皇や頼朝の死後、文覚は朝廷に謀反を企てて隠岐に流される。その際に六代も斬られ、ついに平家の子孫は絶えることになった。
01 大地震(だいじしん) 02 紺掻之沙汰(こんかきのさた) 03 平大納言被流(へいだいなごんのながされ) 04 土佐房被斬(とさぼうきられ) 05 判官都落(ほうがんのみやこおち) 06 吉田大納言之沙汰(よしだだいなごんのさた) 07 六代(ろくだい) 08 泊瀬六代(はせろくだい) 09 六代被斬(ろくだいきられ)