元暦二年正月十日、九郎大夫判官義経、院の御所へ参ッて、大蔵卿泰経朝臣をもッて奏聞せられけるは、「平家は神明にもはなたれ奉り、君にもすてられ参らせて〈中略〉平家をせめおとさざらんかぎりは、王城へかへるべからず」(巻第十一・逆櫓) 巻第十一 収録内容 巻第十一は源平合戦のクライマックス、元暦二年(1185年)の八島・壇の浦の戦いが描かれ、ついに平家は滅亡していく。 源義経は改めて平家追討を誓い、西国へ向かう。八島の戦いでは、那須与一の扇の的や、義経の弓流しなどが描かれる。次第に海上へと逃れていく平家は壇の浦でついに敗戦が確定し、二位の尼は安徳天皇を抱いて入水、平家一門もことごとく海に身を投げた。宗盛父子は生捕りとなり、のちに斬られる。一の谷で捕らわれた重衡も斬首された。武勲を挙げた義経だが、頼朝の不興を買い、腰越でとりなしの書状をしたためる。 01 逆櫓(さかろ) 02 勝浦 付大坂越(かつうら つけたりおおざかごえ) 03 嗣信最期(つぎのぶさいご) 04 那須与一(なすのよいち) 05 弓流(ゆみながし) 06 志度合戦(しどかっせん) 07 鶏合 壇浦合戦(とりあわせ だんのうらかっせん) 08 遠矢(とおや) 09 先帝身投(せんていみなげ) 10 能登殿最期(のとどのさいご) 11 内侍所都入(ないしどころのみやこいり) 12 剣(けん) 13 一門大路渡(いちもんおおちわたし) 14 鏡(かがみ) 15 文之沙汰(ふみのさた) 16 副将被斬(ふくしょうきられ) 17 腰越(こしごえ) 18 大臣殿被斬(おおいとのきられ) 19 重衡被斬(しげひらのきられ)