琵琶法師の語りによって全国に広まった物語を 今、朗読であらためて語り継ぐ―― この世の栄枯盛衰を和漢混交文であますところなく描いた『平家物語』。さまざまな異本のうち物語としての完成度が高く、現在では最もよく知られている「覚一本(かくいちぼん)」の原文・全十三巻をすべて収録しています。
仏教的無常観を説きながらも、平家のみならず、戦に巻き込まれた人々への鎮魂と救済を抱いた物語を朗読でご堪能下さい。
収録内容 巻第一 巻第二 巻第三 巻第四 巻第五 巻第六 巻第七 巻第八 巻第九 巻第十 巻第十一 巻第十二 灌頂巻
作者・成立 作者未詳。『徒然草』に、平家物語の作者は信濃前司行長(しなののぜんじゆきなが)という記述があるが、確証はなく異説も多い。 成立は、一二三〇年代後半から一二四〇年ごろ。当初は「治承物語」と称される三巻本であったが、増補が重ねられ巻数や内容の差異があるさまざまな異本が伝わる。琵琶法師の語りによって全国に広まったが、名手であった覚一の語りを一三七一年に筆記した「覚一本」が物語としての完成度が高く、現在では最もよく知られている。