第13章 人格――ほんものの紳士 CHARACTER――THE TRUE GENTLEMAN
●人格者たれ
●正しい心を持ち続けることが成功への道
●“信条”という名の習慣
●礼節を重んじる
●真の紳士グラント兄弟
●紳士という名の人格者たち
●勇者であれ
●騎士道精神
●分け隔てない優しさが人格者の条件
本文より抜粋
「才能は静けさのうちに築かれ、
人格は世の波にもまれながら築かれる」
―――ゲーテ
「国を興し、国を強くし、国を尊からしめるもの――国威を遠くまで及ぼし、道徳心を高め、尊敬を集め、人びとを従わせ、人びとを導き、他国のプライドを打ち砕くもの――権威をつける道具となり、卓越の源泉となり、真の王位につかしめるもの――それは、優れた血筋でもなく、優れた地位でもなく、優れた才能でもない。優れた人格である。それこそが真正なる勲章なのだ」
―――「タイムズ」誌
この世における真の栄冠は、優れた人格である。人が持ち得る最も高貴な宝であり、それ自体が立派な身分となり、広く信用を集める財産となる。どんな身分の者にも威厳を与え、社会的地位を高める。その力は富よりも強く、名声を手にしたとしても、ねたまれることがない。優れた人格はいつでも、過つことなく、大きな影響力を持つ。なぜならそれは、信義、誠実、節度といった、何よりも人びとに信頼され尊敬される資質から生まれるものだからだ。
立派な人格は人間の最良の特性であり、個々の人に備わる道徳心である。人格者は社会の良心であるだけでなく、国をよく治めるための原動力となる。世界を律するのは、高い道徳心だからだ。戦時下においてさえ、道徳心は身体的な力の10倍も威力を発揮するとナポレオンは言っている。国の力、産業、文明といったものはすべて、国民一人ひとりの人格のありようにかかっており、安全な社会基盤もその上に築かれる。法も制度も国民性から生じたものにすぎない。天の絶妙な配剤のもと、個人も民族も国家でさえも、それぞれにふさわしいものを手にするのである。