【小学館の名作文芸朗読】
太宰治による随筆形式の短編小説。男は「禁酒」を決意する。昔は酒が人間を豪放にするものと考えられていたが、現代では精神を浅薄にするものとなっていたためである。男は配給された少量の酒を分割して飲み、さらに水で薄めるといった工夫や、居酒屋で客が店主に媚びへつらい、少しでも多くの酒を得ようと奮闘する姿を目にし、酒がもたらす悲惨さを見出す。結局、酒に囚われた人々の虚しい営みを目の当たりにし、禁酒の必要性を改めて考えるが、誘惑に抗いきれない自身の意志の弱さを実感する。
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