【小学館の名作文芸朗読】
宮本は、意味ある生活への願いと現実社会の生活形態間の深い矛盾を指摘する。明治時代は学問と社会活動の一致があったが、現代ではサラリーマン生活などの外面的円滑さだけでは解決できない問題がある。それは大学の学問的自主性喪失や知識人の方向性喪失が一因だが、若者を動かすのは単なる消極性ではなく社会矛盾への公憤だと主張する。専門を通じて社会進歩に参加し、アカデミズムから解放された知識・技術で社会貢献する覚悟が必要なのである。そして、一見無意味な日常でも人間的なものを求め続けることこそが生きる道であり、若者の自覚と行動が歴史を作るのだと結論づける。