【小学館の名作文芸朗読】
もらい子のリョウヘイは理解してくれない母親のもとで寂しい日々を過ごしていた。彼の心の拠り所となったのが二人のおばさんだった。一人目は大工の妻で、彼女の家でリョウヘイはカニを捕まえたりカキモチをもらったりして、子どもらしい時間を唯一過ごすことができた。二人目は指物師の妻で、服のほころびを縫ってくれたり、日本の古い知恵を教えてくれたりした。母親から叱られそうになると「ごめんなさいと言っています」と助け、泥だらけの服も乾かして怒られないようにしてくれる心優しいおばさんだった。